番組詳細


TVメタ情報 > 番組一覧 > 日付: 20230420 > エピソード: 1227360

エピソード情報

放送局 NHK総合大阪
プログラム名 NHKスペシャル
エピソード名 証言ドキュメント 日銀 “異次元緩和”の10年
カテゴリ 教育教養
放送時間 2023-04-20 00:35:00 〜 2023-04-20 01:35:00
WireActionデータ更新時刻 2023-04-20 03:35:41

コーナー・トピック・パラグラフ


(オープニング) [corner=10456702]
オープニング [topic=16007488] 詳細
[ 00:35:00 - 00:35:05 ] 5秒 詳細
オープニング映像。
証言ドキュメント 日銀 “異次元緩和”の10年 [topic=16007489] 詳細
[ 00:35:05 - 00:39:30 ] 265秒 詳細
黒田総裁を支え政策の中心を担った当事者たちが日銀意思決定の舞台裏を明かした。

証言ドキュメント 日銀 “異次元緩和”の10年 [corner=10456703]
日銀 “異次元緩和”はこうして始まった [topic=16007490] 詳細
[ 00:39:30 - 00:45:39 ] 369秒 詳細
2011年6月、学習院大学の教授を務めていた岩田氏は招かれた勉強会で安倍晋三に1枚の図を見せ、日銀がそれまでの政策を大転換し国債を大量に買い入れて金融緩和を推し進めればデフレから脱却できると説明した。金融緩和によって物価を上げるようにすると企業の売上が増えて給料が上がり、ものやサービスが売れるようになる。企業はさらに価格を上げる好循環が生まれるという。当時の日本経済はリーマンショックや東日本大震災、歴史的円高で不況に陥っていた。日銀は市場に供給するマネーの量を増やす政策を行っていたが、岩田氏はその量が不十分だと批判しかつてない規模まで増やせばデフレから脱却できるとした。2012年12月、安倍は日銀と連携し大胆な金融緩和を行うことを公約の一つに掲げて総選挙で大勝し、第2次安倍政権が誕生した。当時日銀で理事を務めていた門間氏は日銀批判が世論の強い支持を得たことに衝撃を受けた。門間氏は「日本経済をよくするという大きな目的を金融緩和だけで実現できるとは考えていませんでしたれども、有識者が言っている路線にある程度すり寄っていかないと人々の理解も得られにくいという思いもあった」などと話した。選挙の翌月、日銀側では門間氏が中心となって政府との間で共同声明をまとめた。日銀は物価安定の目標を2%の上昇と定め、金融緩和によってできるだけ早期に実現するとした。
日銀 “異次元緩和”黒田バズーカの舞台裏 [topic=16007491] 詳細
[ 00:45:39 - 00:54:00 ] 501秒 詳細
2013年3月、これまでの日銀の政策に異を唱えていた黒田東彦氏が総裁を任され、日銀の新たな体制がスタートした。就任翌日、黒田総裁は行員を前に「中央銀行の主たる使命が物価安定であるとすれば日本銀行はその主たる使命を果たしてこなかったことになる」「世界中で15年もデフレが続いている国は一つもありません」などと話した。当時調査統計局長を務めていた前田氏は「自分たちがやってきたことを否定されているかのような感じを持ったということは覚えています」などと振り返った。この2週間後、黒田総裁は黒田バズーカと称される金融政策を発表した。日銀は銀行から買い入れる国債の規模を年間50兆円のペースで増やし市場に供給するマネーの量を2年で2倍にすることで企業などに資金が回りやすくなると考えた。投資信託を年間1兆円のペースで買い入れ、不動産の金融商品の購入額も増やすことにした。2年で2%の物価上昇を実現するとした。この政策を副総裁として支えたのが岩田氏と中曽氏だった。岩田氏は「いつでも引き戻されるからすごい推進力がいる、ということは量的緩和、黒田バズーカ砲みたいなのがいるということにつながる」などと話した。2%物価上昇の実現のため、日銀は人々が将来物価が上がるという期待が高まると好循環が生み出されるという理論を重視した。FRB元副議長のリチャード・クラリダ氏は日銀の大規模な金融緩和を評価してきた。黒田バズーカにより日経平均株価は1万2000円台から1か月で1万5000円台に上昇。1ドル90円台だった為替も1年後には103円と円安に転じた。物価の上昇率は1年後には1.4%となった。
日銀に立ちはだかる”壁” 当事者が明かす舞台裏 [topic=16007492] 詳細
[ 00:54:00 - 01:06:26 ] 746秒 詳細
2014年4月の消費税率の引き上げで消費が手控えられる中価格を引き下げて販売する動きが広がり、物価の上昇率が下がり始めた。異次元緩和の効果に悪影響が出ると懸念していた岩田氏は忸怩たる思いを募らせていた。黒田総裁は景気に与える影響は極めて限定的と主張した。意見の食い違いが公になると日銀が重視していた人々の期待が弱まり政策の効果が失われることを恐れ、岩田氏は日銀の外で自らの考えを主張することをやめた。前田氏は原油価格の下落や海外経済の減速などによって今後の物価の見通しが厳しいと黒田総裁に伝えたが、黒田総裁は揺るがなかったという。前田氏は黒田バズーカの直前にも目標の達成は簡単ではないと伝えていた。2014年10月、黒田総裁はバズーカ2と呼ばれる追加の緩和策に踏み切る。日銀が国債を買い入れる規模を30兆円上積みし80兆円に、ETFの買い入れを3倍に増やすとした。金融政策を決めるメンバーたちの間では反対する声もあったが賛成が多数を占めた。当時審議委員を務めていた白井氏は「最初はやったけど中途半端で終わったってことになると、ゼロ金利政策とか量的緩和が十分目的を達成しないで終えてしまったのと同じになると思った」などと話した。企業の設備投資は増えたもののその動きは力強さを欠いているという指摘もあった。名古屋銀行では企業に対して積極的な営業活動を行ったが、借り入れをして設備投資に動く企業は期待するほど増えなかった。2013年度、2014年度と企業の内部留保が増え350兆円を超えた。藤原頭取は「必要なものだけに投資をして内部留保をためていざという時に備えるというのが、バブル崩壊後の中小企業の行動様式になってしまっていた」などと話した。浜松のメーカー・ソフトプレン工業では、円安を利用して輸出で稼ぐこれまでのモデルには限界があると考え、2015年にインドネシアでの現地生産に乗り出した。2015年4月、黒田総裁が約束した2年が過ぎたが2%の物価上昇は実現しなかった。消費者物価指数は上昇率が低下し0%になった。黒田総裁は目標の達成時期を2016年度前半頃に先送りした。
異例の政策を次々と…当事者が明かす舞台裏 [topic=16007493] 詳細
[ 01:06:26 - 01:14:50 ] 504秒 詳細
2015年夏以降、連続で物価の上昇率がマイナスとなった。それでも黒田総裁は強気の姿勢を崩さず、講演では「ピーターパンの物語に飛べるかどうか疑った瞬間に永遠に飛べなくなってしまうという言葉があります、大切なことは前向きな姿勢を確信です」と述べている。目標達成時期はさらに先送りされることになった。2015年12月に取材に応じた黒田総裁は「目標に達成する時期は2016年度の後半頃と予測している」などと話している。2016年1月には日銀史上初めてとなるマイナス金利の導入に踏み出した。金融政策決定会合では9人のうち4人が反対し、ギリギリの導入だった。反対に回った白井氏は「マイナス金利というわかりにくい概念を国民に十分説明する時間もない中で導入することに関しては違うと思った」などと話した。企業に貸し出す金利が低下し得られる収益が減少することになり、半数以上の地銀が融資など本来の業務で赤字に陥った。藤原頭取は「銀行の従来のビジネスモデルはここで崩れたと思いました」などと話した。2016年9月、日銀はイールドカーブ・コントロールを打ち出した。通常国債は償還までの期間が長いほど金利が高り、市場の環境に応じて金利は上がったり下がったりする。想定よりも上がった場合日銀が国債を買う量を大幅に増やしその力で金利を抑え込もうという手法。マイナスだった物価の上昇率はプラスに転じたものの2%には程遠かった。こうした中、銀行の貸し出しで大きく伸びたのが不動産業向けと個人の住宅ローンだった。
なぜ好循環が起きない?当事者が直面した現実 [topic=16007494] 詳細
[ 01:14:50 - 01:19:29 ] 279秒 詳細
日銀が分析した文書では、物価が上がると宣言しても長期のデフレの経験によって人々の考え方を転換させることが想定以上に難しく企業が値上げできずにいると指摘している。物価が上がらない上がらない要因として特に注目されていたのが賃金だった。実質賃金の伸びは力強さを欠き、持続的に上昇する形になっていなかった。審議委員を務めた政井氏は「なんとかしなければならないときに最終的に手をつけやすかったのが人件費だった」などと話した。こうした中、日銀内部では日本経済の実力が異次元緩和を始めて以降低下していたことを懸念していた。副総裁の中曽氏は金融政策だけでは経済の好循環を生み出すのは難しいという思いを持つようになった2%の物価上昇が実現できないまま5年が過ぎた。副総裁の岩田氏と中曽氏は退任したが、黒田総裁は続投となった。
”副作用”にどう対応する?当事者が明かす舞台裏 [topic=16007495] 詳細
[ 01:19:29 - 01:22:39 ] 190秒 詳細
黒田総裁の2期目は異次元緩和の副作用にどう対応するかが大きな課題になっていった。前田氏が主導して日銀は異次元緩和の規模を拡大させる。2020年3月、新型コロナ感染拡大への緊急対応で経済を下支えするため追加の緩和策として年間80兆円としていた国債買い入れ額の上限を撤廃することにした。ETFの買い入れを6兆円から12兆円に倍増させ、不動産の金融商品への投資も増やすことに決めた。政府の国債発行残高は1000兆円を超えたが、その半分以上を日銀が保有するまでになった。国の財政規律のゆるみにつながっているとの指摘もある。日銀が保有するETFの総額は時価で53兆円。TDKなど大企業の株を日銀が実質的に20%近く保有しているとの試算もある。前田氏は「株式を大量に中央銀行が買うということは価格形成をゆがませるということ」「長期化することによって本来ゆがませるべきではない市場をゆがませる確率が高まる」などと指摘した。
日銀”異次元緩和”当事者が明かす舞台裏 [topic=16007496] 詳細
[ 01:22:39 - 01:33:13 ] 634秒 詳細
ウクライナ侵攻の影響でエネルギー価格が上昇し、為替は1ドル151円まで急激に円安が進み輸入品価格が高騰した。物価上昇率は一時4.2%に達するなど日銀が意図しない形で2%を超す状態が続くことになった。物価上昇に引きづられるように賃金も上がり始めた。浜松のメーカーでは新卒の初任給引き上げを決め、夏には平均で4%以上の賃上げも予定している。名古屋銀行では企業の生産性を高める取り組みを支援し経営を後押ししている。日銀が金融政策の修正・転換を迫られるのではないかと虎視眈々と海外の投資ファンドが狙う動きがある。RBCブルーベイ・アセット・マネジメントは日本国債の空売りを仕掛けている。背景にはイールドカーブ・コントロールがある。日銀は金利上昇を抑え込むため大量の国債を購入しているが、いずれ限界を迎えるはずと考えたファンドは金利が上がったときに設けられる空売りを仕掛けた。今月7日、黒田総裁は最後の勤務の日を迎えた。会見で株価の上昇や雇用の増加を成果と強調しつつ、日銀が目指す物価上昇を実現できなかったことに悔しさをにじませた。新しい総裁には植田氏が就任した。前田氏は「国債の残高を減らしていくとかETFの残高も減らしていくということも含めて出口が完了するのに10年20年かかる」「ここ10年は日本にとって何が必要かを発見するのに必要な10年だったってことですかね」などと話した。

(エンディング) [corner=10456704]
エンディング [topic=16007497] 詳細
[ 01:33:13 - 01:34:00 ] 47秒 詳細
エンディング映像。