パラグラフテキスト |
2015年夏以降、連続で物価の上昇率がマイナスとなった。それでも黒田総裁は強気の姿勢を崩さず、講演では「ピーターパンの物語に飛べるかどうか疑った瞬間に永遠に飛べなくなってしまうという言葉があります、大切なことは前向きな姿勢を確信です」と述べている。目標達成時期はさらに先送りされることになった。2015年12月に取材に応じた黒田総裁は「目標に達成する時期は2016年度の後半頃と予測している」などと話している。2016年1月には日銀史上初めてとなるマイナス金利の導入に踏み出した。金融政策決定会合では9人のうち4人が反対し、ギリギリの導入だった。反対に回った白井氏は「マイナス金利というわかりにくい概念を国民に十分説明する時間もない中で導入することに関しては違うと思った」などと話した。企業に貸し出す金利が低下し得られる収益が減少することになり、半数以上の地銀が融資など本来の業務で赤字に陥った。藤原頭取は「銀行の従来のビジネスモデルはここで崩れたと思いました」などと話した。2016年9月、日銀はイールドカーブ・コントロールを打ち出した。通常国債は償還までの期間が長いほど金利が高り、市場の環境に応じて金利は上がったり下がったりする。想定よりも上がった場合日銀が国債を買う量を大幅に増やしその力で金利を抑え込もうという手法。マイナスだった物価の上昇率はプラスに転じたものの2%には程遠かった。こうした中、銀行の貸し出しで大きく伸びたのが不動産業向けと個人の住宅ローンだった。 |