パラグラフテキスト |
子育て支援目当てに移住する人も少なくなく、町が用意した若者支援住宅では2階建て3LDK駐車場付きで、月5万円で借りられる。約20年前に住民投票の結果、奈義町は他の自治体とは合併せず単独で町を残すことが決まった。町は職員や議員の数を削減し、公共事業の見直しや効率化などのコストカットで子育て予算を捻出した。その結果町の出生率は2019年には全国平均の1.36より2倍以上の2.95となった。「なぎチャイルドホーム」は町が設置した無料の交流施設で、1時間300円で利用できる一時預かりサービスではこの町の高齢者たちが活躍している。母たち向けの就労支援施設「奈義しごとえん」では、行政や地元企業が発注する軽作業を最短30分から好きな時間で選ぶことができ、子連れも許可されている。最近人気なのが町の高齢者向けのスマホ教室である。この教室は町が発注した仕事で、スマホは希望する18歳以上の住民に実質無料で提供される。これらによって若い世代と高齢世代にも自然と交流が生まれる。奈義町役場情報企画課の森安さんは「住民を巻き込みながらやっていく子育て支援が強み」と語る。4児の父の福田達哉さんは石川県でサービス業をしていたが、実家のある奈義町に戻り農家に転身した。月収は約14万円に激減したが、この町なら理想的な子育てができると感じたという。先月の取材の間に3人の出生が確認されている。 |