パラグラフテキスト |
厚労省は2024年度の介護保険制度改正に向け、年内にも見直しの方針を固めるとしている。介護保険制度は家族の介護負担軽減化のために2000年から施行されたもの。財源の半分は税金で、残り半分を40歳以上が支払う保険料で賄っており、要介護認定の65歳以上が原則1割負担で訪問介護やリハビリなどの介護サービスを利用可能となる。要介護認定者の数は年々増えてきており、総費用は3倍以上に、また介護保険料も2倍以上に増えている。93歳の母親を自宅で介護している68歳女性は、母親の国民年金が介護費用と医療費でほとんどなくなってしまうという。現行の制度を続けた場合、2040年には介護保険料は1カ月あたり約9200円となるという。専門部会では、介護保険制度の財源確保と制度の維持のためにいくつか案を提出している。「ケアプランの有料化」「相部屋室料の自己負担」「高所得の65歳以上の保険料アップ」など。一方、「40歳未満も介護保険料負担」や「介護保険の自己負担対象拡大」などの案は反対意見や慎重論が出ている。自己負担対象拡大とは、2割負担をする対象を年収280万円以上から200万円以上に引き下げるという案ではないかと淑徳大の結城教授。介護事業所「ナイスケア」の塩川代表は、「今まで限度額ギリギリだった人がいきなり倍額になり、今後介護が継続できないという人も出てくると思うので、次の制度改正は不安がある」と話す。今後「団塊世代」と呼ばれる人達が一気に介護が必要になる可能性もあり、新たな財源確保は喫緊の課題となっている。今後、介護保険枠外の所得税や相続税を増税したり、富裕層の高齢者から税金を多く徴収し介護保険の財源に充てるなどの議論が必要ではないかと結城教授。 |