パラグラフテキスト |
去年から運用が始まり、2023年度が10兆円規模としては初年度となった大学ファンドについて科学技術振興機構・喜田理事は「トータルのリターンとしては600億円のマイナス、内訳としては実現利益としてインカムも積み上げながら740億円程度のプラスを出し、未実現の評価損益(含み損)として1,260億円程度のマイナス。この剰余金、実現部分を着実に積み上げながら今後トータルパフォーマンスを上げていくということがミッション。設立規模が10兆円とかなり大きな規模ですし、目標リターンは大学への支援が3%、そこに長期の物価目標があって、合計で4.5%程度が求められている」と話した。現在もアメリカの利上げや急激な為替変動に加え、ウクライナ問題や中東情勢など不透明要因が多く、株式・債権ともに運用環境の厳しさは変わっていない。市場関係者からは「年4.5%という高水準の運用目標の達成は厳しいのでは」との声もある。そこで注目されるのは運用のポートフォリオ。初年度は債権が約55%、株式が約17%に抑えられている。まだ自己資金の割合が低いため、リスクを過剰に取らない運用を心がけているため。しかしそのリスクを抑えた資産配分が去年の運用実績のマイナスに繋がったとの指摘がある。最終的に2031年度までに国が定めたグローバル株式65%、グローバル債券35%という基本ポートフォリオに近づけていくとしているが、喜田理事は「為替もヘッジは実際していてヘッジコストはかかるが、フルに為替をヘッジしているわけではない。それでも相当部分の為替リスクは持っている。為替というのは振れ幅が大きく、結果的に今の円安環境で行くとある程度パフォーマンスを落としている。反対に円高の時には当然ながらヘッジとして有効に使えるわけで、かつ全部ヘッジしているわけではないので、ある程度円安の効果を享受できるポートフォリオを作っている」と話す。 |