パラグラフテキスト |
6月、東南アジア・カンボジア。夜、高層ビルの屋上では富裕層が集まるスカイパーティが開かれていた。さまざまな国籍の富裕層たちの視線の先に谷さんの姿が。谷さんが披露したのはカンボジア一の高さを誇る建物「77階建てタワーマンション」の建設計画。高さはあべのハルカスを超える320メートル。首都・プノンペンを一望するスカイバーや小さい部屋でも広さ166平方メートル以上という居住空間、さらにボーリング場や大浴場など贅の限りを尽くしたタワマン。しかしこんな壮大なプロジェクトを町の不動産屋が実現できるのか。その答えはパーティー会場にあった。この会場も谷さんの実績の一つだった。すでに富裕層たちの信頼を勝ち取り、現地で「ミスターJタワー」と呼ばれる有名人となっている。宴から一夜明け、街の姿が見えてきた。内戦などの影響で長年”アジア最貧国”と呼ばれたカンボジア。タイやベトナムなどに遅れはとったものの、ここ10年ほどで経済は大きく成長。土地部は様変わりし、高層ビルが乱立してきた。そんな中、国内第4位の高さを誇るのが谷さんの造った「Jタワー2」。夜にパーティーが開かれていたのはプール付きのスカイバー。住んでいるのは世界の富裕層。また、24階には高級ホテル並みの住民専用ラウンジがある。日本人の富裕層の姿もあった。谷さんはこの他3つのマンションを建設し、どれもプノンペンの一等地に立地している。頭を離れ”カンボジアドリーム”を掴んだ谷さんだが、その道程はとても険しいものだった。カンボジアに来たきっかけは神戸でビジネスパートナーだった弁護士に誘われたこと。かつての日本のような成長力を感じ、10年前に現地で会社を設立。その弁護士の法的なサポートが有る上、谷さん自身も現地の不動産開発のライセンスを獲得したことで慣れない海外での建設計画を前にすすめることができた。一たび工事が始まれば谷さん流で現場を統率。壁や床・柱など工事の内容ごとに業者を替える「分離発注」という方法で工事の無駄な時間や費用をカット。自ら現場を指揮する谷さんにしか出来ないやり方。さらにこんなところでも神戸の「谷道場」のように日本の空手を徹底指導。セキュリティに力を入れるのはカンボジアで拳銃強盗にあい、空手で撃退した経験があるため。そのときに付いたニックネームは「ジェット・リー」ならぬ「ジェット谷」。 |