パラグラフテキスト |
テネシー州では3月、学校関係者などを集め、スポーツの事故を防ぐための講習会が行われていた。紹介されていたのはデータに基づく最新の対策。こうした対策の元となるデータは国立スポーツ重大事故研究センター(NCCSIR)で研究されている。NCCSIR設立のきっかけは、1960年代のアメリカンフットボールで頭部外傷などによる死亡事故が相次いだこと。学校関係者だけでなく家族にもヒアリングして事故の情報を集める。さらに医療情報も収集する。それらを全米15の機関が分析し、ルールやガイドラインを改善していくシステム。身体への負荷についての調査・研究も進められている。2000年以降の12年間にアメフトの練習中に熱中症や心停止などで死亡した選手21人を調べた所、半数以上は長期の休み明けの練習再開初日と2日目に集中していた。結果を受けて練習のガイドラインが「初日と2日目の練習時間は2時間まで」などと改定された。最新のデータに基づいた対策を、専門の職員(アスレティック・トレーナー)が現場で実践する。アスレティック・トレーナーは、医師に準じる専門教育を受け、国家資格を持っており、全米の高校の6割に配置されている。アスレティック・トレーナーは、試合に出場させて問題ないかなどの最終判断をする責任を持つ。国を挙げてデータを分析してガイドラインをまとめ、アスレティック・トレーナーが現場で実践する、その連携で選手の事故を防ごうとしている。 |