パラグラフテキスト |
神戸市に住む28歳の会社員Aさんの部屋には、1人暮らしには不釣り合いな21種類の鍋やフライパンがあった。浄水器、空気清浄機、電磁調理器もあった。全てアムウェイの商品だという。アムウェイは1950年代にアメリカで創業した家庭用品などを販売する会社。会員が新たな会員を勧誘して利益を増やすネットワークビジネスを主な事業としていて、日本の会員数は約60万人とされる。Aさんはマッチングアプリで知り合った女性からファスティング(断食)のインストラクターB氏を紹介された。B氏は栄養ドリンクやサプリメントを購入するよう勧めてきた。女性とB氏はアムウェイの会員で、B氏は女性の上位会員だった。Aさんは師匠と呼ばれる別の上位会員を紹介され、アムウェイをすれば時間に縛られない自由な生活ができると言われたという。残業が多かったAさんはアムウェイの販売会員になり、B氏からマッチングアプリを使って新たな会員を獲得するよう指示されたという特定商取引法では勧誘目的であることを事前に告げずにネットワークビジネスに勧誘することは禁止されているが、Aさんは違法性の認識はなかったという。AさんはB氏の指示で勧誘マニュアルも作り、グループ9人で共有した。マッチングアプリを使った組織的な勧誘は2年間続き、Aさんは約500人を勧誘したという。赤字が続いたことからAさんは今年4月に会員をやめることを決断した。騙した女性には申し訳なかったと語った。取材班がB氏を直撃すると、アムウェイの会員であることは認めたが、マッチングアプリを使った違法な勧誘は否定した。日本アムウェイは違法な勧誘行為をした人物が特定できないとした上で、不適切な行動が確認された場合は措置対応を実施するとコメント。アムウェイを巡っては先月13日に消費者庁が社名や目的を事前に告げずに違法な勧誘行為を行ったとして、6か月間の取引停止を命じた。神奈川県に住む25歳の現役会員は厳しいノルマが背景にあると指摘した。2年間の勧誘活動で得た収入はわずか5000円だったが、今後もアムウェイの活動を続けるという。 |