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築220年の古民家をリノベーションし、4月にオープンした古民家レストラン「okudo 中村舎」を切り盛りしている女将の山崎基子さん(39)。店のシンボルは”おくどさん”の呼び名で江戸時代から大切に残されてきたかまどで、このかまどを使ってかまど炊き体験ができる。来店した親子3人がまずは薪割りから挑戦。次にマッチを使用し点火し、その後いきおいよく空気を送りながら火を育てていく。沸騰したら火を調整しあとは待つだけ。その間に女将の基子さんがる”古民家体験ツアー”をガイドする。はしごを登った先にある厨子二階(つしにかい)と呼ばれる屋根裏部屋では江戸時代の俵や薪がそのまま残されている。古い蔵の中には昔の子どもたちが履いていた草鞋に、成績表などがあった。冒険気分を味わったあとは再びかまどに向かい、いよいよオーブン。上手く炊けた白米をおひつに移し、塩むすびにしていただく。新米ならではのねばりとはごたえに、甘みがたまらない。かまどごはんと一緒にさまざまなオリジナル料理が味わえる「かまど御膳」(3300円)は地元食材を使用し地元のおばあちゃんたちが直伝した素朴な味わいが魅力。「和風出汁薬膳カレー」(1300円)は野菜たっぷりで、和風出汁で仕上げたスパイシーなルーかまどごはんの味を引き立てる。基子さんは4年前に四日市市からいなべ市に移住し、地元の地域おこし協力隊の一員となり町の魅力を発信する活動を始めた。のどかな田舎暮らしに憧れていた基子さんにとってここはまさに最高の場所だという。協力隊の活動を続けるなかで出会ったのが、いなべ市が管理していた築220年の古民家。このかまどで昔ながらのいなべの味を伝えたいという基子さんの熱意を住民も後押しした。借り上げた古民家を改装し、近所のおばあちゃんから料理を習い今年4月に「okudo 中村舎」をオープンした。オープン以来、店の評判も上々で店のかまど炊き体験にきょうも多くの客がやってきた。この日はおばあちゃんを筆頭に3世代6人家族が体験。しかし初めてのマッチにはやはり苦戦。ようやく点火したものの、なかなか火が広がらない。助っ人に登場したのが御歳81歳のおばあちゃん。昔とった杵柄、火の勢いが違う。きょうもつやつやのかまどごはんがおいしく炊きあがった。秋は地元野菜たっぷりの「かまど炊き味ご飯定食」(1300円)も登場する。 |