パラグラフテキスト |
「CPC卓球センター」は実業団の現役選手がコーチをしてくれる荒本で人気の卓球場。コーチたちが所属する実業団を運営するのが街の歯医者さん。選手らは歯科医院で働きながら実業団リーグに参戦している。コーチの1人・菅沼選手に実力を見せてもらったが、この日は緊張していたのかスマッシュがカットしなかった。菅沼選手が所属するチームは現在、女子が実業団リーグの2部、男子は1部に所属している。その実力は創部わずか6年で今年日本一を獲得したほど。そんなチームを作ったクローバー歯科の院長・保田さんを呼んでもらい、「なぜ歯科で実業団をしようと思ったのか」と聞くと、「僕が趣味程度の卓球をしていたんです。(卓球界に)お世話になった。バツ1になった時に財産を気前よく渡したら僕はもう300万円しかなかったんですよ。それで雇われていたところのお義父さんが医院長やったから、300万円で居抜き物件を見つけて…難しいなって思っている時に、卓球連盟の会長が『保田のとこ行け』と。すると患者さんがみんな来てくれた」と語った。永年卓球連盟の会員だったことで人生最大のピンチを救ってもらった保田さんは、「何か恩返しできないか」と連盟とのつながりで選手をお世話するようになった。実業団チームは大企業や有名大学ばかりで町の歯医者さんのチームが入ること自体が異例中の異例。資金も圧倒的に少なく、保田さん自らスポンサーのお願いに回ったそう。選手らも夜まで働き、限られた時間で練習。そんな厳しい状況の中、保田さんが心がけたのは「選手の人間教育」で、「夢を語れといつも言っている。夢を達成するには自分が絶対成長しないと無理」などと話す。 |