番組詳細


TVメタ情報 > 番組一覧 > 日付: 20240704 > エピソード: 1726747

エピソード情報

放送局 NHK総合
プログラム名 時論公論
エピソード名 輪島 地震大火報告書 消防の使命と安全は
カテゴリ 時事解説
放送時間 2024-07-04 23:35:00 〜 2024-07-04 23:45:00
WireActionデータ更新時刻 2024-07-05 07:04:49

コーナー・トピック・パラグラフ


(オープニング) [corner=15291047]
オープニング [topic=22692309] 詳細
[ 23:35:00 - 23:35:10 ] 10秒 詳細
オープニング映像。

(時論公論) [corner=15291048]
津波警報下の火災 消防の使命と安全は [topic=22692310] 詳細
[ 23:35:10 - 23:38:03 ] 173秒 詳細
能登半島地震に伴って発生した輪島朝市の火災は14時間にわたって燃え続け、4万9千平方メートル、240棟が焼失した。16人が亡くなり、3人が行方不明になっている。総務省消防庁の検討会は、火災が広がった原因や消防活動などを検証し、報告書をまとめた。検討会では東日本大震災の時に続いて、消防活動と隊員の安全の問題が改めて議論された。13年前の東日本大震災では、避難を呼びかけたり水門を閉めにいったりした消防団員と職員280人が殉職をした。この教訓を受け国は震災後、安全確保のため「消防活動中であっても自分の命を守ることを優先する」という指針を打ち出した。津波の到達が予想される時刻までに、余裕を持って退避をするというもの。しかし、今回の朝市の火災では、それよりあとの指針が対象としない状況に直面した。いったん退避をして津波の第1波は到達したが、引き続き大津波警報が出続けている中で、火災が燃え広がった。輪島市の津波ハザードマップを見ると、今回延焼した地域は津波浸水エリアになっていて、押し寄せる津波の高さは最大2メートルとされている。一方石川県は手法を変えたもう1つの想定図を示していて、浸水面積は狭くなるがいずれの図でも避難が必要な地域とされている。火災が確認された時、すでに輪島港で1.2メートル以上の津波が観測され、第2波、第3波のおそれがあるため大津波警報が継続されていた。全国の消防本部の中には「津波警報が継続している間は浸水想定区域での活動はしない」と定めているところもあるが、今回消防は警報下で消火活動にあたらざるをえなかった。
[ 23:38:03 - 23:40:58 ] 175秒 詳細
能登半島地震に伴って発生した輪島朝市の火災で、消防の津波警報下での消火活動は困難を極めた。現場調査をもとに延焼の様子を再現したシミュレーションによると、火災発生が確認されたのは地震から1時間余りたった午後5時過ぎで、地区の南側にある建物から出火した。消防はすぐ消火活動を始めたが、消火栓は断水のためすべて使えず、川の水は地盤の隆起で水位が下がりほとんど使えなった。南寄りの風で朝市の中心部に向かって、延焼家屋が広がっていった。消防は火元の両側に延焼を阻止するラインを設定したが、すぐに越えられた。次の阻止ラインに集中的に放水をするが、地下の防火水槽は容量が小さくすぐに空になってしまい、火の勢いを止められずにじりじりと後退を強いられた。鍵を握ったのは、海から水を取る判断だった。海から取水ができれば水不足は一気に解消できるが、消防は津波警報が出続けているため、隊員の安全のため海岸での取水を押しとどめていた。しかしすべての水源が尽きかけたため、日付が変わった午前1時前に取水を決断。消防車を海岸につけて現場への送水を始めた。津波警報が解除になる30分程前で、厳しい判断を迫られた。海水を利用した効果は非常に大きく、阻止線の左側の家屋は黒く焼け落ちてしまったが、それ以上の延焼は食い止めることができた。出坂正明輪島消防署長は、「警報が出ている中、隊員の安全のため海岸に立ち入るべきではなかったのかもしれないが、水が尽きようとしていて他に選択肢はなかった」と、苦しい決断だったと話している。海岸で取水にあたった消防団員の中には強いストレスを受けた人がいる一方で、「もっと早く取水できなかったのか」という思いを抱える団員もいた。その後、地震直後には倒壊した建物の下で生存をしていた人が複数いたということがわかった。住民に取材をすると、延焼が遅かった地域の少なくとも4軒で、地震直後は生存していたという証言が得られた。倒れた家の中から助けを求める声が聞こえたり、携帯電話で親戚や知人に助けを求めていたという。
[ 23:40:58 - 23:44:50 ] 232秒 詳細
夫婦2人が亡くなった家も、地震直後には倒壊した建物の下で生存していた。清水宏紀さんは、1回目の揺れのあと避難のため車を取りに外に出たところ、続く大きな揺れが起こり、家が倒壊し両親が閉じ込められた。清水さんは救助をしようとしたが機材もなくどうすることもできず、火災が迫って避難せざるをえなかった。シミュレーションによると清水さんの家のある区画に火が燃え移ったのは、火災の発生確認から7時間以上たった午前1時過ぎ。海水によって延焼拡大が食い止められる2時間前だった。当時消防団長として消火活動にあたった川端卓さんは、「もっと早く海水を使うことができていれば早い段階で延焼を食い止めることができた可能性があり、残念でならない。安全を確保しながらこういう状況に対応できる方法を、何とか考えていかなければならないと思う」と話している。今回輪島の消防が直面したような状況は、想定される南海トラフ地震をはじめ、今後の災害でも起きると考えられる。報告書は「津波警報が出ている時は消防隊員も退避をすることが基本だ」と指摘した上で、それでも活動が必要な場合の備えを提言している。まず安全に活動できるかを判断するため、消防と気象台の連携や情報共有の体制を整備すること。検討会では、委員から気象庁に対し「長時間継続される住民向けの津波警報とは別に、救助のプロ向けの情報を出せないのか」という問いかけがあり、気象庁は「技術的に難しい」と答えた。議論の結果、「消防と気象台との間でホットラインを設けるなどして潮位のデータや警報の見通しなどを共有して、消防が活動を開始したり撤退したりする判断をしやすくする体制をつくるべきだ」とした。次に、津波の浸水想定区域内で木造住宅が密集する地区での、消防活動計画の策定。具体的には消火救助活動が必要になった時のために、高台やビルなど退避場所とそこへのルートを確保すること。監視カメラやドローンなどによる監視体制を整え、隊員が情報を共有できるようにしておくこと。ボートや救命胴衣、ヘルメットなどを用意する必要もあるとしている。ただこうした計画づくりや体制整備を、規模の小さい消防本部が進めるのは大変なこと。国は具体的な手引きや制度を整えて、後押しする必要がある。今回の地震と火災は、救助をされる側と救助をする側の両方の命を守るため、最善の準備をすることの重要性を問いかけた。能登半島地震と東日本大震災の教訓を改めて重く受けとめ、計画づくりや訓練を重ねる必要がある。