番組詳細
TVメタ情報 > 番組一覧 > 日付: 20240218 > エピソード: 1698432
エピソード情報
放送局 | NHK総合 |
---|---|
プログラム名 | NHKスペシャル |
エピソード名 | 続・“冤(えん)罪”の深層〜警視庁公安部・深まる闇〜 |
カテゴリ | 教育教養 |
放送時間 | 2024-02-18 21:00:00 〜 2024-02-18 22:00:00 |
WireActionデータ更新時刻 | 2024-02-24 18:06:20 |
コーナー・トピック・パラグラフ
(オープニング)
[corner=14973657]
オープニング
[topic=22204783]
詳細
[
21:00:00
-
21:00:05
]
5秒
詳細
オープニング映像。
オープニング映像。
続・“冤罪”の深層〜警視庁公安部・深まる闇〜
[topic=22205930]
詳細
[
21:00:05
-
21:05:17
]
312秒
詳細
去年12月、大川原化工機の冤罪事件をめぐる賠償請求訴訟の判決が言い渡された。東京地方裁判所が警視庁や検察の捜査を違法と認め、被害者への賠償を命じた。大川原化工機の社長ら3人は2020年、軍事転用可能な機械を不正輸出した容疑で警視庁公安部に逮捕された。容疑を否認した3人は長期拘留され、うち1人は拘留中に見つかった病で亡くなった。
去年12月、大川原化工機の冤罪事件をめぐる賠償請求訴訟の判決が言い渡された。東京地方裁判所が警視庁や検察の捜査を違法と認め、被害者への賠償を命じた。大川原化工機の社長ら3人は2020年、軍事転用可能な機械を不正輸出した容疑で警視庁公安部に逮捕された。容疑を否認した3人は長期拘留され、うち1人は拘留中に見つかった病で亡くなった。
続・“冤罪”の深層〜警視庁公安部・深まる闇〜
[corner=14974500]
噴霧乾燥機 RL-5
[topic=22205933]
詳細
[
21:05:17
-
21:09:14
]
237秒
詳細
2021年に検察が起訴を取り下げ、大川原化工機の事件は注目を集めた。元顧問の相嶋さんはこの判断を聞く前に無実を訴えたまま亡くなった。不正輸出を疑われたのはかつて相嶋さんが設計開発を担った「噴霧乾燥機 RL-5」。内部で液体を噴霧し熱風で乾燥させることで粉として取り出すことができるこの機械は、粉ミルクや医薬品の製造などに利用される。一部の菌は生きたまま粉状にできるため、有害な菌を粉にした生物兵器製造に転用できると疑われた。相嶋さんや社長らは容疑を否認したが警察は受け入れなかった。
2021年に検察が起訴を取り下げ、大川原化工機の事件は注目を集めた。元顧問の相嶋さんはこの判断を聞く前に無実を訴えたまま亡くなった。不正輸出を疑われたのはかつて相嶋さんが設計開発を担った「噴霧乾燥機 RL-5」。内部で液体を噴霧し熱風で乾燥させることで粉として取り出すことができるこの機械は、粉ミルクや医薬品の製造などに利用される。一部の菌は生きたまま粉状にできるため、有害な菌を粉にした生物兵器製造に転用できると疑われた。相嶋さんや社長らは容疑を否認したが警察は受け入れなかった。
東京地方裁判所
[topic=22205952]
詳細
[
21:09:14
-
21:13:08
]
234秒
詳細
事態が大きく動いたのは2023年6月、出廷した現職の警視庁捜査員が「ねつ造ですね」「捜査員の個人的な欲というか動機がそうなったんではないか」と異例の捜査批判を行った。捜査は警視庁公安部外事一課第五係が担当。不正輸出捜査を専門とする20名程度の組織で、裁判では第五係の警部補XやYが上司の係長らの捜査が恣意的だったと証言した。去年9月の放送では当時捜査に関わった関係者や専門家を取材し、曲解とも入れる資料の作成など当時の警察の捜査のあり方を検証した。見えてきたのは捜査幹部の組織内評価への焦りだった。去年12月27日、東京地裁は警視庁の逮捕と検察の起訴を違法とした。さらに人を欺く取り調べがあったと認定し、不正輸出の疑いがあるとした判断は根拠がかけていると指摘した。
事態が大きく動いたのは2023年6月、出廷した現職の警視庁捜査員が「ねつ造ですね」「捜査員の個人的な欲というか動機がそうなったんではないか」と異例の捜査批判を行った。捜査は警視庁公安部外事一課第五係が担当。不正輸出捜査を専門とする20名程度の組織で、裁判では第五係の警部補XやYが上司の係長らの捜査が恣意的だったと証言した。去年9月の放送では当時捜査に関わった関係者や専門家を取材し、曲解とも入れる資料の作成など当時の警察の捜査のあり方を検証した。見えてきたのは捜査幹部の組織内評価への焦りだった。去年12月27日、東京地裁は警視庁の逮捕と検察の起訴を違法とした。さらに人を欺く取り調べがあったと認定し、不正輸出の疑いがあるとした判断は根拠がかけていると指摘した。
警察独自の“法令解釈”
[topic=22205954]
詳細
[
21:13:08
-
21:16:28
]
200秒
詳細
不正輸出の規制対象は経産省の省令が定めた特定の性能を持つ機械に限られる。「定置した状態で内部の滅菌又は殺菌をすることができるもの」という一文は機械を動かしたあと内部の菌を殺滅できる性能を意味し、作業員に危険が及ばないため軍事転用可能な条件の一つとされる。公安部は熱風を出す機能で殺菌できれば規制対象に該当すると独自の解釈を打ち出していた。東京地裁はこの解釈を採用したことについては「経産省に確認した上で解釈を採用しており通常要求される捜査は尽くしていた」と違法性を認めなかった。本当に捜査は尽くされていたのか。独自入手した警察の内部資料には法令解釈をめぐる異様なやり取りが記されていた。資料は国や都が裁判所への提出を拒んだため審理の対象になっていなかった。警察関係者は「この資料は警察がどうしても見せたくなかった紙の一つだ、捜査の悪質さがばれてしまう」と証言している。
不正輸出の規制対象は経産省の省令が定めた特定の性能を持つ機械に限られる。「定置した状態で内部の滅菌又は殺菌をすることができるもの」という一文は機械を動かしたあと内部の菌を殺滅できる性能を意味し、作業員に危険が及ばないため軍事転用可能な条件の一つとされる。公安部は熱風を出す機能で殺菌できれば規制対象に該当すると独自の解釈を打ち出していた。東京地裁はこの解釈を採用したことについては「経産省に確認した上で解釈を採用しており通常要求される捜査は尽くしていた」と違法性を認めなかった。本当に捜査は尽くされていたのか。独自入手した警察の内部資料には法令解釈をめぐる異様なやり取りが記されていた。資料は国や都が裁判所への提出を拒んだため審理の対象になっていなかった。警察関係者は「この資料は警察がどうしても見せたくなかった紙の一つだ、捜査の悪質さがばれてしまう」と証言している。
法令解釈をめぐる議論
[topic=22205986]
詳細
[
21:16:28
-
21:20:43
]
255秒
詳細
法令解釈をめぐる議論は経産省と公安部の間で始まった。記録によると内偵捜査が始まった2017年から翌年にかけて13回協議が行われた。経産省からは安全保障貿易管理課の職員が出席。当初経産省側は「この省令には欠陥があるとしか言いようがないし省令の改正をしない限り噴霧乾燥機を規制することはできない」と噴霧乾燥機を規制する省令側に問題があると主張していた。原因は「殺菌」という言葉の曖昧さにあった。日本も参加する生物兵器等の不拡散を目的とした国際的な枠組み「オーストラリア・グループ」で合意した文言「disinfected」を日本語にする際あてられた言葉で、「disinfected」には化学薬品を使って菌を殺滅するという定義がある。公安部は省令の「殺菌」という言葉には菌を殺す手段に明白な定義がないため、消毒機能がなくとも熱風で菌を殺滅できれば規制対象になると考えた。独自解釈を主導したのが第五係幹部だった。警察関係者は「第五係長は法令解釈が曖昧なことを『チャンス』だと言っていた」などと証言している。
法令解釈をめぐる議論は経産省と公安部の間で始まった。記録によると内偵捜査が始まった2017年から翌年にかけて13回協議が行われた。経産省からは安全保障貿易管理課の職員が出席。当初経産省側は「この省令には欠陥があるとしか言いようがないし省令の改正をしない限り噴霧乾燥機を規制することはできない」と噴霧乾燥機を規制する省令側に問題があると主張していた。原因は「殺菌」という言葉の曖昧さにあった。日本も参加する生物兵器等の不拡散を目的とした国際的な枠組み「オーストラリア・グループ」で合意した文言「disinfected」を日本語にする際あてられた言葉で、「disinfected」には化学薬品を使って菌を殺滅するという定義がある。公安部は省令の「殺菌」という言葉には菌を殺す手段に明白な定義がないため、消毒機能がなくとも熱風で菌を殺滅できれば規制対象になると考えた。独自解釈を主導したのが第五係幹部だった。警察関係者は「第五係長は法令解釈が曖昧なことを『チャンス』だと言っていた」などと証言している。
協議開始1か月後
[topic=22206019]
詳細
[
21:20:43
-
21:24:16
]
213秒
詳細
2017年11月7日、公安部と経産省の幹部が参加した初めての協議が開かれた。安全保障貿易管理の課長補佐は捜査の前にまず経産省が捜査することを提案したが第五係はこれに反対したという。警察関係者は「第五係は大川原が危ないものを中国に輸出していると盛んに吹き込んでいた、経産省とするとそれが事実ならすぐに止めたい」「第五係はそれは困ると、自分たちで逮捕し大きく報道してもらわないと手柄にならない」と証言している。課長補佐はこの日「協力できることは協力したい」「ガサに入りたいというなら裁判官が令状を出すのに足りる表現をしたい」と、警察に押し切られたかのような回答をしている。内部では経産省内部では第五係の捜査に疑問の声もあがっていた。
2017年11月7日、公安部と経産省の幹部が参加した初めての協議が開かれた。安全保障貿易管理の課長補佐は捜査の前にまず経産省が捜査することを提案したが第五係はこれに反対したという。警察関係者は「第五係は大川原が危ないものを中国に輸出していると盛んに吹き込んでいた、経産省とするとそれが事実ならすぐに止めたい」「第五係はそれは困ると、自分たちで逮捕し大きく報道してもらわないと手柄にならない」と証言している。課長補佐はこの日「協力できることは協力したい」「ガサに入りたいというなら裁判官が令状を出すのに足りる表現をしたい」と、警察に押し切られたかのような回答をしている。内部では経産省内部では第五係の捜査に疑問の声もあがっていた。
埼玉県川口市
[topic=22206033]
詳細
[
21:24:16
-
21:26:29
]
133秒
詳細
第五係は大川原の同業他社や機械のユーザーにも聴取を重ねていた。噴霧乾燥機の老舗メーカーが取材に応じた。捜査員からは噴霧乾燥機で殺菌が可能か聞かれ、殺菌をする装置ではないので殺菌をしたいんであれば別に行うしかないと話したという。通常の噴霧乾燥機は熱風で菌を殺すことを目的に設計されておらず、その目的で機械を使うユーザーもいないというのが業界の常識だった。経産省の安全保障貿易審査課もこのメーカーと同様の考えを持っていたと記されている。
第五係は大川原の同業他社や機械のユーザーにも聴取を重ねていた。噴霧乾燥機の老舗メーカーが取材に応じた。捜査員からは噴霧乾燥機で殺菌が可能か聞かれ、殺菌をする装置ではないので殺菌をしたいんであれば別に行うしかないと話したという。通常の噴霧乾燥機は熱風で菌を殺すことを目的に設計されておらず、その目的で機械を使うユーザーもいないというのが業界の常識だった。経産省の安全保障貿易審査課もこのメーカーと同様の考えを持っていたと記されている。
協議開始4か月後
[topic=22206044]
詳細
[
21:26:29
-
21:29:37
]
188秒
詳細
協議開始4か月後、再び協議が行われた。課長補佐は「ガサをするのは構わない」「別件捜査を表立って言えないができればガサで得て情報で、他の件で立件してもらえればありがたい」「警察のガサに期待している面もある。別件で本丸を見つけるのでもいい」「公安部長が盛り上がっている」「管理部長に報告を上げておく。回答の文言をどうするかはすでに課長レベルでも決められないので部長と相談する」「部長は私以上に右翼的なので大丈夫かなと」と発言していたとメモに記録されている。取材に対し課長補佐は「メモも見ていないし発言も知らない」、管理部長は「報告は受けたと思うが指示をした記憶はない」と回答した。番組は公安部長の自宅も訪ねたが不在だった。第五係は熱風で殺菌が可能だとする資料を経産省に提出し、経産省は資料を前提とすれば輸出規制に該当すると思われるとした。
協議開始4か月後、再び協議が行われた。課長補佐は「ガサをするのは構わない」「別件捜査を表立って言えないができればガサで得て情報で、他の件で立件してもらえればありがたい」「警察のガサに期待している面もある。別件で本丸を見つけるのでもいい」「公安部長が盛り上がっている」「管理部長に報告を上げておく。回答の文言をどうするかはすでに課長レベルでも決められないので部長と相談する」「部長は私以上に右翼的なので大丈夫かなと」と発言していたとメモに記録されている。取材に対し課長補佐は「メモも見ていないし発言も知らない」、管理部長は「報告は受けたと思うが指示をした記憶はない」と回答した。番組は公安部長の自宅も訪ねたが不在だった。第五係は熱風で殺菌が可能だとする資料を経産省に提出し、経産省は資料を前提とすれば輸出規制に該当すると思われるとした。
大川原化工機へ強制捜査
[topic=22205993]
詳細
[
21:29:37
-
21:35:14
]
337秒
詳細
経産省の回答の2か月後、公安部は大川原化工機へ強制捜査し大量の資料を押収した。その2か月、社長以下50名の社員に任意の事情聴取を開始した。会社にとって大きな負担だったが、やましいところはないと社員らは協力した。強制捜査の直前に第五係が作成したとみられる報告書では、警視総監ら最高幹部まで報告が上がったと記録され、「外事容疑性が高い」とされていた。外事容疑性とは、外国の軍事組織などとつながりを持つことへの疑いを指す。第五係が作成したとみられる資料では、大川原の輸出先や合弁先と中国軍事産業とのつながりを調べていた。逮捕された元役員の島田さんは、捜査員から中国のあってはならないところに大川原の機械があったから捜査していると言われたという。指摘をつけて会社は中国にある自社製品の所在をすべて確認したが、軍事利用の事実は見つからなかった。詳細な納品リストを警察に提出し確認を求めた。島田さんがどこにあるのかと聞くと「そうは言ってない」「捜査している段階だ」と言われ、捜査に疑問を感じた。警察関係者は外事容疑性は事件化を進めたい捜査幹部の後付けだったと証言している。
経産省の回答の2か月後、公安部は大川原化工機へ強制捜査し大量の資料を押収した。その2か月、社長以下50名の社員に任意の事情聴取を開始した。会社にとって大きな負担だったが、やましいところはないと社員らは協力した。強制捜査の直前に第五係が作成したとみられる報告書では、警視総監ら最高幹部まで報告が上がったと記録され、「外事容疑性が高い」とされていた。外事容疑性とは、外国の軍事組織などとつながりを持つことへの疑いを指す。第五係が作成したとみられる資料では、大川原の輸出先や合弁先と中国軍事産業とのつながりを調べていた。逮捕された元役員の島田さんは、捜査員から中国のあってはならないところに大川原の機械があったから捜査していると言われたという。指摘をつけて会社は中国にある自社製品の所在をすべて確認したが、軍事利用の事実は見つからなかった。詳細な納品リストを警察に提出し確認を求めた。島田さんがどこにあるのかと聞くと「そうは言ってない」「捜査している段階だ」と言われ、捜査に疑問を感じた。警察関係者は外事容疑性は事件化を進めたい捜査幹部の後付けだったと証言している。
“経済安全保障”
[topic=22206046]
詳細
[
21:35:14
-
21:39:22
]
248秒
詳細
大川原の事件は経済安全保障の取り組みの成果として、警察内部で後に高く評価された。この動きを加速させたのはアメリカの対中政策で、2018年に対中貿易規制を盛り込んだ国防権限法を成立させていた。アメリカは中国の国家戦略「中国製造2025」を警戒していた。第五係が作成した上層部への報告書には「中国は中国製造2025を掲げ、諸外国の先端技術保有企業、防衛関連企業、研究機関等に触手を伸ばしその矛先は我が国も例外ではない」と記されている。大川原の強制捜査で外事容疑性につながる別件の犯罪行為は見つからなかった。大川原化工機は自分たちはスケープゴートにされたと主張している。
大川原の事件は経済安全保障の取り組みの成果として、警察内部で後に高く評価された。この動きを加速させたのはアメリカの対中政策で、2018年に対中貿易規制を盛り込んだ国防権限法を成立させていた。アメリカは中国の国家戦略「中国製造2025」を警戒していた。第五係が作成した上層部への報告書には「中国は中国製造2025を掲げ、諸外国の先端技術保有企業、防衛関連企業、研究機関等に触手を伸ばしその矛先は我が国も例外ではない」と記されている。大川原の強制捜査で外事容疑性につながる別件の犯罪行為は見つからなかった。大川原化工機は自分たちはスケープゴートにされたと主張している。
2020年3月
[topic=22206047]
詳細
[
21:39:22
-
21:47:42
]
500秒
詳細
2020年3月、社長ら3人が逮捕された。番組は検察の判断が伺える内部資料を入手。これも裁判には未提出の資料だった。2018年の事情聴取開始直後から起訴直後まで、16回分の検事とのやり取りを第五係が記録したメモだった。この間に人事異動などがあり3人の検事が事件を担当した。最初の担当検事Aは「消毒可能な特殊機械」が法令に該当するとの会社側の考えに理解を示していたと記録にある。2人目の検事Bは「殺菌できるの定義が定まっていないのが問題」「課長補佐は当初尻込みしていた」「経産省は大丈夫なのか」と、法令解釈をめぐる経産省との協議メモをもとに問題を指摘。しかし慎重だった検察側の反応は3人目の検事Cの登場で一変。検事Cは「外事警察としての立場は私は十分に理解している」「技術としても流出しているのでなんとかしたいという気持ちはある」と話していたと記録にある。さらに日本政府が輸出規制を強化しホワイト国から韓国を外したことも検察内部で追い風になったと記録にある。大川原は韓国にも機械を輸出していた。逮捕後に社長らはそれまでの協力姿勢を一変させ、裁判に勝つため黙秘に転じた。
2020年3月、社長ら3人が逮捕された。番組は検察の判断が伺える内部資料を入手。これも裁判には未提出の資料だった。2018年の事情聴取開始直後から起訴直後まで、16回分の検事とのやり取りを第五係が記録したメモだった。この間に人事異動などがあり3人の検事が事件を担当した。最初の担当検事Aは「消毒可能な特殊機械」が法令に該当するとの会社側の考えに理解を示していたと記録にある。2人目の検事Bは「殺菌できるの定義が定まっていないのが問題」「課長補佐は当初尻込みしていた」「経産省は大丈夫なのか」と、法令解釈をめぐる経産省との協議メモをもとに問題を指摘。しかし慎重だった検察側の反応は3人目の検事Cの登場で一変。検事Cは「外事警察としての立場は私は十分に理解している」「技術としても流出しているのでなんとかしたいという気持ちはある」と話していたと記録にある。さらに日本政府が輸出規制を強化しホワイト国から韓国を外したことも検察内部で追い風になったと記録にある。大川原は韓国にも機械を輸出していた。逮捕後に社長らはそれまでの協力姿勢を一変させ、裁判に勝つため黙秘に転じた。
東京地方検察庁
[topic=22206050]
詳細
[
21:47:42
-
21:58:20
]
638秒
詳細
検察は逮捕した3人以外にも社員に任意の事情聴取を行った。警察の独自解釈では熱風で内部の菌全体を殺滅することができるはずだったが、実際は温度が上がりきらない箇所があると社員が指摘していた。袋小路状になっていて熱風が行き渡らない測定口と呼ばれる部分だった。亡くなった相嶋さんも同様の指摘を逮捕前から警察に伝えていた。これらの指摘を無視したことが捜査を違法と認める判決につながった。さらに起訴直後、捜査を問題視していた警部補Yは検事Cに捜査を見直すべきだと直接伝えていたという。検事Cは、経産省の該非の基準が犯行当時定められてなかったら立件できないと検事Cが怒ったという警部補Yの証言を裁判で否定したが、この証言を裏付ける言葉が記録されていた。警察関係者は「検事Cは係長に丸め込まれたか、あるいはもう起訴直前になっていたので腹をくくったのか」と証言している。2020年3月31日に中国への不正輸出で起訴、2020年6月15日に韓国への不正輸出で追起訴、そして2021年7月30日Cとは別の検事によって起訴は取り消された。法廷で原告弁護士から亡くなった相嶋さんと遺族への謝罪の気持ちについて聞かれた検事Cは「間違いがあったとは思っていないので謝罪はありません」と答えている。番組は検事Cの所属先に本人宛の質問状を届けることを依頼し了承を得たが、検事Cの回答は「コメントしない」だけだった。判決から2週間後、国や東京都は判決を不服として控訴し会社側も控訴で応じた。会社側が望んだ謝罪と事後検証は未だ果たされていない。
検察は逮捕した3人以外にも社員に任意の事情聴取を行った。警察の独自解釈では熱風で内部の菌全体を殺滅することができるはずだったが、実際は温度が上がりきらない箇所があると社員が指摘していた。袋小路状になっていて熱風が行き渡らない測定口と呼ばれる部分だった。亡くなった相嶋さんも同様の指摘を逮捕前から警察に伝えていた。これらの指摘を無視したことが捜査を違法と認める判決につながった。さらに起訴直後、捜査を問題視していた警部補Yは検事Cに捜査を見直すべきだと直接伝えていたという。検事Cは、経産省の該非の基準が犯行当時定められてなかったら立件できないと検事Cが怒ったという警部補Yの証言を裁判で否定したが、この証言を裏付ける言葉が記録されていた。警察関係者は「検事Cは係長に丸め込まれたか、あるいはもう起訴直前になっていたので腹をくくったのか」と証言している。2020年3月31日に中国への不正輸出で起訴、2020年6月15日に韓国への不正輸出で追起訴、そして2021年7月30日Cとは別の検事によって起訴は取り消された。法廷で原告弁護士から亡くなった相嶋さんと遺族への謝罪の気持ちについて聞かれた検事Cは「間違いがあったとは思っていないので謝罪はありません」と答えている。番組は検事Cの所属先に本人宛の質問状を届けることを依頼し了承を得たが、検事Cの回答は「コメントしない」だけだった。判決から2週間後、国や東京都は判決を不服として控訴し会社側も控訴で応じた。会社側が望んだ謝罪と事後検証は未だ果たされていない。
(エンディング)
[corner=14974729]
エンディング
[topic=22206214]
詳細
[
21:58:20
-
21:59:00
]
40秒
詳細
エンディング映像。
エンディング映像。